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キジくんのこと

立ち別れ いなばのやまの嶺におふる
 まつ と し 聞かば 今かえりこむ

この百人一首の下の句を紙に書いて、
居なくなった猫の飯椀の中に伏せておくと、帰ってくる。
というマジナイがある。
玄関前に昨夜から椀を伏せ、帰りを待つ猫がいる。

私方には外猫も数匹いて、その中の1匹だ。
大人しく撫でさせてくれるようになったキジ白ネコで、
見た目そのままに「キジくん」と呼んでいた。

最初から人なれしていた訳ではない。
地道に餌を与え、優しい言葉をかけ続けていた連れ合いに、
半年以上かけて慣れていった猫だった。
ありふれたキジ白の雄猫。高いか細い声なので、
子猫と思ったが、ある程度の年はとっていたらしい。

元気であれば、猫の恋で遠征に出かけたのだと思う。
事実、そのように遠征の途中に我が家を食堂として利用する猫も居る。
でもキジくんは、数週間くらい前から、体調が良くなくて
獣医にも連れていったのだから、心配の気持ちの方が勝っている。
獣医の処方で体調が好くなったら、
遠征で逝く方知れずになる前に、去勢手術をしようと相談もしていた。

外飼いや野良猫の寿命は、室内のみで過ごす猫の半分にも満たない。
5年生きれば長生きだそうだ。
キジくんも、姿が見えなくなる前から、獣医の薬を飲ませていたが、
なんとなく熱っぽいような、だるいような風情で
濡れ縁や玄関先に寝そべっていたように思う。
頭を撫でると小さくゴロゴロいうようになっていた。

また捕まえて獣医につれて行くか。
あるいは、隔離できる場所を作って家に入れるか。決断しなければ。
連れ合いとそんなことを考えていた矢先に姿が見えなくなった。

大人しいといっても、先だって獣医に連れていった際は
診療室で大暴れし、聞いたことのない太い声で鳴き、
小便を私たちと獣医師に引っかけた。
抑えつけられずに生きてきた猫には、
良くなるから大人しく医者にかかるという概念はない。
そのうえ、猫の治療には、一部の例外を除き、
一発ですぐ効くというものはとても少ない。
診断、検査後、症状に合う投薬治療が主で
症状が消えるまで、長く辛抱強く薬を飲ませなくてはならない。

抱きかかえて飲ませられるほど、私たちは信頼されていないので、
外猫への投薬は、苦い薬を少量の餌に混ぜて、だましだまし餌と一緒に服用させる。
体力が衰えているのに、餌がまずくなると賢い猫は食事を摂らなくなり、
ますます体力がなくなっていくので、数回は餌だけ与えて、
体力と人に対する信頼を温存させていく。
そんな繰り返しでも、治ればいいと思っていたから、とても切ない。

まじないが効いて、ひょっこり戻るかもしれないし、
二度とキジくんは戻らないかもしれない。

連れ合いは、しょうがないというが、
それは諦観の言葉ではなく、
私たちのふがいなさを収める言葉なのだと思う。
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by divaof10gum | 2014-07-17 15:00 | 猫 犬 飼いもの


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